山師という言葉を聞いたことがありますか?いくつか昔の職業を指す言葉として伝えられていますが、「山林の売買・木材の売買」を生業とする人、「木材の伐採や林業を手配する事」を生業とする人の事。まだ材木が主要な建材やエネルギー動力であった時代です。そのなかでももっぱら大きな山林を扱う人の事を山師と呼んでいたのです。
江戸から明治に時代が変わり、自然に生えている木材を切り出す事から、計画的に植樹し木を育てて活用するようになりました。国家事業として林業は位置づけられ、民間レベルでも林業は炭鉱や漁業農業と同じように需要の高い市場となっていました。
戦後は国の復旧のため林業が盛んになりました。昭和30年代には高度経済成長に伴い林業が振興され、燃料消費構造の変革により利用価値の小さくなった薪炭林や老齢過熟の天然林が生産性の高いスギ・ヒノキなどの人工林に転換される拡大造林や、奥地林の開発が行われました。
国内の森林の実に40%が人工的計画的に作り変えられた山林であることを考えると、当時の林業に対する国家規模の需要がいかに大きなものであったか、いかに盛んだったかが見て取れます。
そのような山林需要の中で山の知識に長けた山師が、山林や木材の売買、切り出しなどの人夫の手配、計画的な植樹などの林業育成などで活躍していました。
現在では林業の人たちが山師を名乗っている事もあります。
経済成長期にともなって、建材の不足に対応するため安い外材が輸入されるようになり、国内の林業は衰退します。山林を扱う事が少なくなり、その流れの中で山師は徐々にいなくなっていきました。現在山林の売買を専門で扱っている業者は日本でも数少なくなっています。
山林を扱う業者は専門の知識や山林組合などとのつながりなどが求められ、誰でもできるわけではありません。今現在山林を扱っている業者はそのような知識や歴史やつながりを有してる方々といえるでしょう。
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